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遠隔点呼とIT点呼の違いとは?対象・要件・メリットを比較【緑ナンバー向け】
公開日:2026.07.02
更新日:2026.07.02

 

「IT点呼」と「遠隔点呼」——名前は似ていますが、自社が選べるのはどちらかは、Gマークの有無と営業所の構成でほぼ決まります。どちらもドライバーと離れた場所から点呼できる仕組みですが、対象になる営業所も、Gマークの要否も、機器の要件も大きく異なります。
この記事では、両者の違いを比較表で整理し、「自社はどちらを導入すべきか」を判断できるところまで解説します。

第1章| そもそも点呼とは?緑ナンバー事業者に課された義務

点呼は、過労運転や飲酒運転による事故を防ぐために、緑ナンバー(事業用自動車)の運送事業者に法令で義務づけられた安全確認です。トラック事業者の場合、貨物自動車運送事業輸送安全規則にもとづき、乗務の前後に運転者の健康状態・酒気帯びの有無などを確認することが求められ、原則は運行管理者による「対面」が基本とされています。
点呼は監査でも指摘の多い項目で、未実施や記録不備は行政処分の対象になり得ます。だからこそ、対面に代わる「IT点呼」「遠隔点呼」を正しく理解し、要件を満たした形で導入することが重要です。

第2章| IT点呼とは?対象・要件をわかりやすく

IT点呼は、カメラやモニターを介して遠隔地と営業所をつなぎ、対面に準じた点呼を行う仕組みです。もともとは、安全性の取り組みが優良と認められた営業所、いわゆる「Gマーク(安全性優良事業所)」を持つ営業所に限って認められてきた制度です。
ポイントは「対象が限られる」ことです。

  • 営業所どうしでIT点呼を行う場合は、点呼する側・受ける側の双方の営業所がGマークを取得している必要があります。
  • ただし、Gマークがなくても、「営業所と、その営業所が持つ車庫の間」に限り、一定の条件(営業所の開設から一定期間が経過していること、過去一定期間に重大事故や点呼違反による行政処分がないこと、直近の巡回指導の評価が基準以上であることなど)を満たせばIT点呼が認められる場合があります。
  • 使用する機器は、国土交通省が認定した機器を用いる必要があります。
  • 実施時間にも制限があり、同一営業所・車庫間以外で行う場合は、連続する一定時間(1営業日のうち連続16時間)以内に収める必要があります。

申請は、原則として開始予定日の一定日数前までに、管轄の運輸支局へ報告書を提出する形になります(提出期限などの細目は最新の公式情報でご確認ください)。

※出典元:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/common/001394782.pdf)をもとに株式会社ナブアシストの作成

第3章| 遠隔点呼とは?2022年に始まった制度

遠隔点呼は、令和4年(2022年)4月から国土交通省が開始した、比較的新しい点呼制度です。IT点呼との最大の違いは、Gマークの有無や営業所の優良性を問わないこと。代わりに、所定の要件を満たす機器・システムと環境を整えることが条件になります。
満たすべき要件は、大きく次の3つです。

  1. 機器・システムが満たすべき要件(なりすまし防止のための本人確認機能や、運転者の全身・酒気帯びの状況を映像で随時確認できる機能など)
  2. 実施する施設・環境の要件(点呼場所の明るさ、安定した通信環境など)
  3. 運用上の遵守事項(運行管理規程への明記、地理・交通情報の把握など)

IT点呼が「Gマークという実績」を入口にしているのに対し、遠隔点呼は「高度な機器・システム」で点呼の確実性を担保する、という考え方です。そのぶん機器・システムの要件はIT点呼より厳しめになりますが、Gマークがなくても導入できる点が大きなメリットです。
実施できる範囲も広く、自社の営業所と車庫の間、同一事業者の営業所どうし、さらに資本関係の有無に限らず、法人を跨いでの営業所間でも実施できます。(事業者間遠隔点呼)ただし、バスとタクシーのように業種をまたぐ実施は認められていません。また、IT点呼のような実施時間の制限はありません。
申請は、実施しようとする営業所を管轄する運輸支局長等へ行い、承認を受ける必要があります。

※出展:国土交通省ウェブサイト(https://wwwtb.mlit.go.jp/chugoku/content/000363180.pdf)をもとに株式会社ナブアシストの作成

第4章| 【図解】遠隔点呼とIT点呼の違い 比較表

両者の違いを、判断に直結する観点で整理しました。

比較軸 IT点呼 遠隔点呼
対象となる営業所 原則、優良営業所に限定(条件を満たせば一部例外あり) 優良性を問わず、要件を満たせば全営業所が対象
Gマークの要否 営業所間で行う場合は双方に必要(車庫間は条件付きで不要の場合あり) 不要
機器・システム要件 国土交通省の認定機器を使用 定められた要件(本人確認・全身確認カメラ等)を満たす機器・システム。IT点呼より厳しめ
実施できる範囲 条件を満たす営業所・車庫の間 営業所−車庫間/同一事業者の営業所間/事業者間(異業種間は不可及び管理受委託契約が必要)
時間の制約 同一営業所・車庫間以外は連続16時間以内 時間制限なし
グループ企業間の可否 原則は同一事業者・条件を満たす範囲 事業者間遠隔点呼にて可能(異業種間は不可及び管理受委託契約が必要)
申請手続き 管轄の運輸支局へ報告書を提出 管轄の運輸支局長等へ申請し承認を受ける

自社が遠隔点呼・IT点呼のどちらに対応すべきか、要件を満たすシステムでお悩みなら。
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第5章| 結局、自社はどちらを導入すべき?タイプ別の選び方

制度の優劣ではなく、自社の営業所構成と将来の体制で考えるのが現実的です。

遠隔点呼が向いているケース

  • Gマークを持っていない、またはこれから取得予定の営業所がある
  • 新しく開設した営業所で、早く点呼を効率化したい
  • 完全子会社を含むグループで、拠点をまたいで点呼を集約したい
  • 夜間・早朝など時間の制約なく柔軟に運用したい

IT点呼でも対応できるケース

  • すでにGマークを取得済みの営業所どうしで点呼を行いたい
  • まずは営業所と車庫の間で点呼を効率化したい
  • 導入・運用のコストを抑えたい

複数営業所やグループ展開を見据えるなら、Gマークに縛られない遠隔点呼のほうが拡張しやすい傾向があります。一方で、すでにGマークがあり対象範囲が限られているなら、IT点呼で十分に効果を出せることもあります。いずれを選ぶ場合も、「自社の運用に合い、かつ要件を満たすシステムを選べるか」が成否を分けます。

第6章| 遠隔点呼の導入に必要な要件と申請の流れ(概要)

遠隔点呼を始めるには、前述の3要件(機器・システム要件/施設・環境要件/運用上の遵守事項)を満たしたうえで、運行管理規程に必要事項を定め、管轄の運輸支局長等へ申請して承認を受ける、という流れが基本です。
ここでは概要にとどめます。要件のチェックリストや申請書類、具体的な手順は、別記事で詳しく解説します。

第7章| よくある質問(FAQ)

Q. IT点呼から遠隔点呼に切り替えられますか?
A. 要件を満たせば可能です。遠隔点呼はGマークを前提としないため、対象範囲を広げたい場合の選択肢になります。ただし機器・システムや申請の要件が異なるため、切り替え前に自社の体制が要件を満たすか確認が必要です。
Q. アルコール検知器は必須ですか?
A. 点呼では酒気帯びの有無の確認が求められ、遠隔点呼・IT点呼ともに検知結果を確認・記録できる仕組みが前提になります。具体的な機器の要件は最新の公式情報でご確認ください。
Q. Gマークがないと、点呼のIT化は一切できないのですか?
A. いいえ。Gマークがなくても、要件を満たせば遠隔点呼は導入できます。IT点呼も、営業所と車庫の間に限り、一定条件を満たせばGマークなしで認められる場合があります。
Q. 1人の運行管理者が複数営業所の点呼をまとめて行えますか?
A. 遠隔点呼を使えば、要件を満たす範囲で複数拠点の点呼を1か所に集約する運用が可能になり、運行管理者の負担軽減につながります。実施できる範囲や運用ルールは制度の要件に従う必要があります。

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まずは、自社の営業所がGマークを持っているか、拠点がいくつあるか——この2点を棚卸しするところから始めてみてください。


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